「薬に頼らず血圧を下げたい」と思ったら|生活習慣の見直しと保険適用の治療補助アプリ

「できれば、薬に頼らずに血圧を下げたい」。診察室で、こうしたお気持ちをうかがうことは少なくありません。実はこの気持ちは、高血圧の治療において、とても大切な出発点です。高血圧管理・治療ガイドライン2025でも、減塩や運動などの生活習慣の見直しは、すべての高血圧の方に共通する治療の基本と位置づけられています。今回は、生活習慣で血圧に向き合う方法と、その「続ける」を支える保険適用の高血圧治療補助アプリについてお伝えします。

血圧を下げるための、生活習慣の見直し

生活習慣の見直しには、いくつかの柱があります。

  • 減塩:目安は1日6g未満とされています。めん類の汁を残す、しょうゆは「かける」より「つける」など、続けやすい工夫から。
  • 野菜・果物:カリウムには塩分(ナトリウム)を外に出す働きを助ける面があります。ただし腎臓の働きが低下している方は控えたほうがよい場合があるため、通院中の方は主治医にご相談ください。
  • 適正体重:体重が減ると、血圧にもよい影響があることが知られています。
  • 運動:ウォーキングなど、無理なく続けられる有酸素運動を習慣に。
  • 節酒・禁煙:お酒は控えめに。喫煙は血管の健康の観点からも見直したい習慣です。

減塩については、別の記事(同じ塩分でも血圧が上がりやすい?「食塩感受性」と高血圧のはなし)でくわしくご紹介しています。

いちばん難しいのは、「続けること」です

生活習慣の見直しは、「何をすればよいか」を知ることよりも、毎日続けることのほうがずっと難しいものです。診察でお会いできるのは、月に1回ほど。残りの日々は、おひとりで取り組むことになります。はじめの数日はがんばれても、だんだん元の生活に戻ってしまう——それは意志が弱いからではありません。ひとりで続けるための「仕組み」がないだけだと、私たちは考えています。

保険適用の「高血圧治療補助アプリ」に対応しています

当院では、医師が処方する高血圧治療補助アプリによる生活習慣改善プログラムに対応しています(保険適用)。国の承認を受けた「治療用アプリ」(管理医療機器)で、2022年から保険診療で使えるようになりました。高血圧管理・治療ガイドライン2025でも、スマートフォンアプリなどのデジタル技術を活用した血圧管理・保健指導が取り上げられています。

流れはシンプルです。診察で対象となるかを判断したうえで、医師がアプリを処方し、ご自身のスマートフォンにダウンロードしていただきます。設定は院内でスタッフがご一緒しますので、スマホの操作に自信がない方もご安心ください。

プログラムは6か月間。アプリの中で毎日行うことは、大きく3つです。

  • 朝と晩の血圧の記録:家庭血圧の習慣がそのまま身につきます。
  • その日のコンテンツ:血圧や生活習慣についての知識を、少しずつ学べます。
  • 1日の振り返り:今日の行動をアプリと一緒に振り返ります。

そして毎月の診察では、アプリに記録された血圧や取り組みを、医師が一緒に確認しながら診療を進めます。アプリは薬の代わりになるものではなく、生活習慣の見直しという治療の基本を毎日そばで支える「伴走役」という位置づけです。6か月のプログラム終了後は、身についた生活習慣と家庭血圧の記録をいかして、通常の診療を続けていきます。

対象となる方

このアプリは、どなたでも使えるわけではなく、次のような条件があります。

  • 成人の方で、ほかに原因となる病気のない高血圧の方(高血圧の大部分がこれにあたり、「本態性高血圧」と呼ばれます。腎臓やホルモンの病気などが原因となる高血圧は対象外です)
  • ご自身のスマートフォンをお使いの方
  • 6か月のプログラム期間中、毎月受診いただける方

アプリが適しているかどうかは、血圧値や合併症の有無などをふまえて、診察で医師が判断します。費用は保険適用です。くわしくは受診の際にご案内します。

薬による治療が必要な場合もあります

高血圧の治療方針は、血圧の高さだけで決まるわけではありません。心臓や腎臓など臓器への影響、糖尿病・脂質異常症といった合併症の有無を含めた心血管リスクの評価にもとづいて判断します。リスクが高い場合には、生活習慣の見直しと並行して、早い段階から降圧薬による治療を行うことが標準的です。その場合も生活習慣の改善は治療の土台であり続けますし、血圧が安定すれば、薬剤の減量を検討できる場合もあります。

なお、すでに降圧薬を服用中の方が自己判断で中断すると、血圧が再び上昇することがあります。「薬を減らせないか」というご相談こそ、診察でお聞かせください。

循環器を専門とする医師が診ます

当院院長は、循環器専門医・総合内科専門医です。血圧そのものだけでなく、その先にある心臓や血管の状態まで含めて診られるのが特徴です。「薬を始める前に、できることをやってみたい」という方も、健診で血圧を指摘された方も、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考】高血圧管理・治療ガイドライン2025(日本高血圧学会)

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ご予約・お問い合わせ

診療は予約制です。WEB予約、またはお電話にて、ご予約のうえご来院ください。健診結果や血圧手帳、家庭血圧の記録をお持ちいただくと、よりスムーズです。

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