くしゃみ・鼻水・鼻づまりを抑える薬の治療に加えて、花粉症・アレルギー性鼻炎を根本的に治療していく「舌下免疫療法」(保険適用)を行っています。

0.目次

1.当院の花粉症診療

2.舌下免疫療法(スギ・ダニ)

3.花粉症とは

4.花粉症の診断

5.花粉症の治療薬

6.初期療法(花粉が飛ぶ前から始める治療)

1.当院の花粉症・アレルギー性鼻炎診療

  • 症状に応じた投薬(眠気の少ない薬の選択など)
  • 例年症状が強い方への「初期療法」(花粉が飛ぶ前から薬を開始)
  • 採血によるアレルギー検査(スギ・ダニなど原因の確認)
  • 舌下免疫療法(スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎)

※当院では13歳以上の方を診療しています。

2.舌下免疫療法(スギ・ダニ)

アレルゲン免疫療法は、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を少量ずつ投与して、アレルギー反応そのものを弱めていく治療で、花粉症を根本的に治療していく唯一の治療です。当院では、錠剤を舌の下で溶かして服用する「舌下免疫療法」を保険診療で行っています。

  • スギ花粉症:シダキュア(スギ花粉舌下錠)
  • ダニアレルギー性鼻炎:ミティキュア(ダニ舌下錠)

1日1回の服用を3〜5年続けます。治療開始から1年程度で効果を実感する方が多いと報告されています。

通院の流れ

舌下免疫療法は、血液検査でアレルギーの原因を確認してから開始します。初回の診察では、舌下免疫療法以外の薬の処方が可能です。

来院内容
1回目
  • 治療方針の相談
  • 舌下免疫療法を希望する場合は、血液検査(結果は約1週間後)
  • 一般的なアレルギー性鼻炎治療薬の処方は可能
2回目
  • 血液検査の結果を確認
  • 舌下免疫療法の適応があれば、処方
  • 1回目の服用は院内で行い、30分間院内で待機(副作用が出ないか確認)
3回目
  • 初回服用の1週間後に再診
  • 問題がなければ、継続分を処方
以後
  • 定期的に受診しながら服用を継続

※他院で実施したアレルギー検査(採血)の結果をお持ちの方は、ご持参ください。採血を省略できる場合があります。

開始できる時期

  • スギ:花粉が飛んでいる時期は開始できません。例年6月〜11月頃に開始します。
  • ダニ:1年を通していつでも開始できます。

費用の目安

保険適用です。3割負担の場合、薬代は月2,000〜3,000円程度です(診察料・検査費用が別にかかります)。

注意点

  • 口の中のかゆみ・違和感が出ることがあります(多くは開始初期で、続けるうちに軽くなります)。
  • まれに強いアレルギー反応が起こることがあるため、初回は院内で服用します。
  • 妊娠中の方、ぜんそくの症状が不安定な方は、開始できないことがあります。

ぜんそくの方へ

ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎とぜんそくを合併している方では、ダニの舌下免疫療法により、ぜんそく症状の改善も報告されています(保険適用はアレルギー性鼻炎に対する治療です)。ぜんそくの症状が安定していることを確認したうえで開始します。

→ぜんそく(気管支喘息)の検査と治療はこちら

3.花粉症とは

花粉症は、花粉抗原による季節性アレルギー性鼻炎のひとつです。

アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患です。

Ⅰ型アレルギーは「即時型アレルギー」ともいい、原因となる抗原(花粉抗原など)に曝露されてから15分~30分程度でアレルギー反応が最大に達します。抗原(花粉抗原など)に特異的な「IgE」という抗体を介してアレルギー反応がおこります。

花粉症の3大症状は「発作性反復性のくしゃみ」「水様性鼻漏(はなみず)」「鼻閉(はなづまり)」です。

4.花粉症の診断

花粉症の診断は、花粉飛散季節に症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)があり、アレルギー性鼻炎以外の疾患(風邪など)を除外することで臨床的に診断されることが多いです。

また、特徴的な鼻粘膜所見と、血清特異的IgE抗体(採血検査)が同定されると、より確実です。

5.花粉症・アレルギー性鼻炎の治療薬

アレルギー性鼻炎の治療は、抗原(花粉)の除去と回避(マスク・メガネなど)、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法があります。

薬物治療については、初期治療に用いた薬剤に加えて、重症度に応じて経口ステロイド薬、抗IgE抗体薬、点眼薬を用います。

重症のスギ花粉症に対する注射薬(抗IgE抗体薬)による治療は、対象となるかを確認したうえで、実施している医療機関に紹介します。

抗ヒスタミン薬の特徴(眠気の副作用など)/詳しく見る

抗ヒスタミン薬では、眠気の副作用が問題となることがあり、これは薬剤の脳内H1受容体占拠率と関連していることが報告されています(下図左側のグラフ)。

初期に開発された第1世代抗ヒスタミン薬(d-クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジンなど)では、即効性はありますが、作用時間が短く、脳内H1受容体占拠率が高い(50%以上)ために眠気の副作用が強い薬剤が多いです。

後に開発された第2世代抗ヒスタミン薬では、脳内H1受容体占拠率は20%以下と低く、眠気の副作用が改善されており、添付文書に自動車運転の注意記載がない薬剤もあります(ビラスチン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ロラタジン)

一日の内服回数の違いや、抗ヒスタミン以外の作用機序を合わせ持つ薬剤もあり、個々の症例に応じた選択が望まれます。

6.初期療法(花粉が飛ぶ前から始める治療)

例年症状が強い方には、花粉が飛び始める前かごく初期から薬を開始する「初期療法」を推奨しています。初期療法により、花粉飛散ピーク時の症状悪化を抑制したり、内服期間を短くすることができると報告されています。

初期療法のしくみと使う薬/詳しく見る

なぜ花粉が飛ぶ前から始めるのか(最小持続炎症)

最小持続炎症とは、症状が出ない程度の花粉量でも、鼻粘膜にはアレルギーの原因となる免疫細胞の浸潤が認められることです。

最小持続炎症により、鼻粘膜過敏性が生じ、すくない花粉量でもアレルギー反応が起こってしまいます。

初期療法に使う薬

以下の薬剤が用いられます(カッコ内は代表的な薬剤名)。

① 第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ、アレロック、ザイザル、ビラノア、ルパフィン、タリオンなど)

② ケミカルメディエーター遊離抑制薬(リザベンなど)

③ ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト・オノンなど)

④ Th2サイトカイン阻害薬(アイピーディ)

⑤ 鼻噴霧用ステロイド薬(ナゾネックスなど)

<くしゃみ・鼻漏(はなみず)型の初期療法>

①②⑤のいずれかを用います。

<鼻閉(はなづまり)型の初期療法>

③④⑤のいずれかを用います。

出典「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)-通年性鼻炎と花粉症-」

院長の泊咲江(とまり さきえ)です。循環器・総合内科の専門医として、花粉症などのアレルギーの症状も幅広く診ています。健診結果やささいな不安も、どうぞお気軽にご相談ください。→医師紹介ページはこちら