「何を食べればいいですか」「運動は、何をどれくらい?」——糖尿病の診察で、最も多い質問です。
食事と運動は、2型糖尿病の治療の土台です。同時に、頑張り方を間違えると続きません。このページでは、当院が勧める現実的な取り組み方と、運動を始める前に心臓を確認しておく理由を説明します。予約がお済みの方も、診察の前に読んでいただくと、当日の相談がスムーズになります。
食事:極端な制限より、続けられる調整を
食べてはいけない食品は、原則ありません。大切なのは、量とバランス、そして続けられることです(腎症が進んだ場合などは、個別の調整が必要です)。
まず取り組みやすいのは、次の4つです。
- 食べる順番:野菜・汁物・肉や魚を先に、ごはんを後に。食後の血糖上昇がゆるやかになります
- 早食いをやめる:よく噛んでゆっくり食べると、同じ食事でも血糖が上がりにくくなります
- 甘い飲み物の置き換え:清涼飲料水やジュースは血糖を急に上げます。水・お茶・無糖のものに
- 欠食しない:朝食を抜くと、昼食後の血糖がかえって上がりやすくなります
食事で血糖が実際にどう動くかは、院長がリブレ(持続血糖測定)を装着して確かめた記録を、ブログ「院長もリブレを使ってみました」で紹介しています。
なお、極端な糖質制限を自己流で始める前に、診察で相談してください。使っている薬によっては、低血糖の危険があります。管理栄養士による詳しい栄養指導が必要な場合は、連携する病院の栄養指導や、区の栄養相談を案内しています。
運動:血糖を下げ、インスリンの効きを良くします
運動には2つの効果があります。運動したその場で血糖を下げる効果と、続けることでインスリンの効きそのものを改善する効果です。
- 有酸素運動:速歩などを1回20〜30分、週に合計150分程度が目安です
- 筋力運動:スクワットなどを週2〜3回。筋肉は血糖の大きな受け皿です
- タイミング:食後1〜2時間の運動は、食後の高血糖を抑えます
この目安は、日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』の推奨に基づいています。
こま切れでも効果はあります。通勤で1駅分歩く、昼休みに10分歩く、からで構いません。
運動していいかは、心臓を調べてから決めましょう
ここが、このページで最もお伝えしたいことです。
糖尿病では、動脈硬化が進んでいても自覚症状が出にくい、という特徴があります。神経障害の影響で、狭心症があっても胸の痛みを感じにくいことがあるためです(無症候性心筋虚血)。症状がないまま急に強い運動を始めると、心臓に思わぬ負担がかかることがあります。
当院では、循環器専門医の院長が、運動を始める前に心臓と血管の状態を確認します。そのうえで、「どの強さまでの運動なら安心して勧められるか」を、検査結果に基づいて一緒に決めます。
運動を始める前に:当院でできる検査
- 心電図・心エコー(心臓への負担を確認)
- 頸動脈エコー(首の血管で動脈硬化をチェック)
- 血管年齢・動脈硬化の検査(ABI・CAVI)
さらに詳しい検査(冠動脈CTなど)が必要な場合は、連携する菊名記念病院に依頼します。
動脈硬化の検査については、ブログ「糖尿病・生活習慣病と動脈硬化|足と首の血管検査(ABI・頸動脈エコー)」で紹介しています。
よくある質問
Q.膝や腰が痛くて、歩く運動ができません。
座ってできる筋力運動や、水中歩行など、関節に負担の少ない方法があります。痛みのある場所と程度に合わせて、できる運動を診察で一緒に探します。
Q.お酒はやめないとだめですか。
一律の禁酒は求めません。血糖の状態・合併症・使っている薬によって適量が変わるため、ふだんの飲み方を伺ったうえで、現実的な量を診察で相談します。
Q.食事記録をつけないとだめですか。
必須ではありません。ふだんの食事を伺いながら診療できます。ご希望の方には、リブレで食後血糖の動きを実際に見ながら食事を調整する方法もあります。
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院長の泊咲江です。循環器専門医・総合内科専門医として、おひとりおひとりの生活ペースを大切に、血糖から心臓・血管まで診ています。気になることは、お気軽にご相談ください。→医師紹介ページはこちら
